2018/10/20 13:53
8月11日。 6年ぶりの再会が叶う。 この日を迎えるために十分準備した。 はず… 真夏だというのに、朝から空はどんよりと重たく、会場に着く頃には大雨… 会場入口に近づくと、中からは賑やかな声が聞こえてきました。 靴を脱ぐのももどかしく、下駄箱に靴を入れることすらまごつきました… 「先生がお見えになったようです」 司会をして下さった保護者の方の一声で、会場の中が静まり返りました。 会場に足を踏み入れると、20名の教え子たちの視線が、一斉に私に向けられたような気がしました。 しかし、視線を返す余裕なんてあるはずもなく、入室する前に一礼することすら忘れていました。 私ができたことは、演台に向かう足をただ速めることだけでした。 演台に辿り着くと、今まで味わったことのない空気が、会場内にいる全ての人を包み込んでいるように思いました。 どんな顔をして再会すればいいのか、号泣して話せないんじゃないか、まずは土下座したほうがいいのか… いろんな場面を会場に着く直前までずっと想像していました。 しかし、全ての感情を緊張が凌駕していたのか、緊張のクライマックスで感情が麻痺していたのか、私は演台の横に直立したまま、ただ突っ立っていることしかできませんでした。 6年前、裏切ってしまった教え子たちが目の前にいる。 6年間、ずっと会いたいと思っていた教え子たちが目の前にいる。 このときのテンションを表現するのに適当な言葉が見つかりません。 備えあれば憂いなしと言いますが、憂いしかありませんでした。 司会の方に促されて、やっと頭を下げることができました。 ” 本日はご多用の中、このようなお時間を作っていただいたこと、心より感謝申し上げます。 みなさまには、多大なるご迷惑ご心配をおかけしてしまいましたこと、心より深くお詫び申し上げます。 先々月、6月6日に出所してまいりました。 何度も頭を下げる姿をお見せし、お見苦しい場面が多々あることと思います。 しばらく、ここからお話をさせていただきます。 少し聞いていただくことになると思いますが、よろしくお願いします ” それからは、前日の夜中まで考えていた謝罪の言葉を読み上げました。 思いが伝わるようにゆっくりと 考えが伝わるようにじっくりと 気持ちを込めて… 司会の方が上手に仕切ってくださり、子どもたちに質問はあるかと投げかけてくれたのですが、隣同士で目配せを交わしたり、どこか遠くを見つめていたり… 小学生の頃と変わっていないな… ここぞというときは驚くほどの力を発揮してくれるのに、普段は引っ込み思案な子が多かったことを思い出し、なんだかノスタルジックな気もちにもなりましたが、状況が状況ですから仕方ありません。 それでもひとりが質問すると、何人か手が挙がりました。 ” 聞きたい子は質問してくるよ ” 前日会った元教え子が言ったように、” 聞きたい子 ” の質問は辛辣なものでした。 それでも、みんな笑顔を見せてくれて、少しずつ心に余裕をもたせてくれました。 昔のようにはいきませんが、私も少しだけ笑うことができました。 最後までじっくり聞いてくれた子たちに感謝しています。 なんだか、先生みたいだな そんな錯覚をするほど 最後の方は落ち着いて話すことができました。 全ての思いをちゃんと伝えることができたかどうかわかりませんが この日を迎えられてよかったなと心から思いました。 この日の再会は「あたりまえの幸せ」ではなく 本当にありがたい幸せです。