2018/10/17 00:00

人と人とのつながりは不思議なもので、二度と会えないだろうと思っていた人と会うことができました。
塀の中にいるとき、「こんなオレに、また会ってくれる人はいるのか」と、そんなことばかり考えていました。
そんなある日、以前勤めていた学校の先輩から手紙が届きました。
オレに初めて6年生担任を経験させてくれた元教え子とばったり街中で出会い
オレの居場所をその子に教えてくれたとのことでした。
元教え子からの手紙を待つ日々が始まりました。
期待できないことを楽しみに待つという感覚は、塀の中にいる人間にしかわからない感覚かもしれません。
元教え子から手紙が届いたときの感動は、言葉では表現できません。
偉そうに「国語」なんて教えていたくせに…
ただ、涙を拭いながら目を通し、次の日に頭が痛かったことを覚えています。
さらに後日、2通目の手紙が届き、他にも2人の手紙が同封されていました。
「先生と会える日を楽しみにしています」
「一緒に食事に行きましょう、早く会いたいです」
そんな言葉が書いてありました。
こんなオレを「先生」って呼んでくれる。「会いたい」と言ってくれる。
しばらく涙が止まりませんでした。
うれしくて、申し訳なくて、情けなくて…
塀の中はつらいことがいっぱいありますが
会いたい人に会えないことが、一番つらかったかもしれません。
出所後に連絡を取り合い、とうとう再会できることになりました。
7月7日の七夕に
集まってくれたのは9名の元教え子。
あんなに会いたかったのに、いざとなると、やはり緊張している自分がいました。
早めに向かい、
” みんなそろったら連絡下さい ”
と、送信した後は、連絡が来るまでスーパーをうろうろしたり、トイレに行ったり、パチンコ屋でタバコを吸ったり…
” そろいました ”
ずっと手にしていたスマホの画面を確認し、意を決してお店へ。
お店に入るとすぐに、元教え子たちの顔が目に飛び込んできました。
「先生、変わってなーい!」
なんて、みんな笑顔で受け入れてくれました。
「先生! 何飲むー!」
なんて、本当に自然に、何事もなかったかのように…
「ちょっと待って、まずはちゃんとしたい」
正座したまま、謝罪の言葉を口にしました。
頭の中がまとまってなくて、本当に伝えたいことを伝えられたかどうかわかりませんが、みんな真剣に聞いてくれました。
「先生、もういいよ」
「終わり!終わり!」
目の前にビールが運ばれてきました。
『かんぱーい!』
さっきの笑顔が戻ってきました。
それからは
ただただ楽しくて
ただただ申し訳なくて
時間はあっという間に過ぎていきました。
またこうして会える日が来るなんて思いませんでした。
すごく幸せだなと思いました。
「先生」なんて呼ばれていたくせに、どうしても言葉では表現できませんが
こんな教え子たちに出会えて、日本一幸せな教師だったんだなと思いました。
教師として再会したかったという思い、未練と後悔の思いが、もっともっと強くなりました。
『先生、またねー!』
また、必ず会いたいと思いました。
来年の七夕なんて待てないかも…
大切な人を忘れなければ、人は道を外れることはない
オレは大馬鹿野郎です。
当サイトBlog
『最後のクラスに再会したときの謝罪の言葉(一部修正)』
https://nanahachi.official.ec/blog/2018/09/04/193546